翻訳家によるコラム:生物学・分子生物学・バイオ技術コラム

生物学・分子生物学・バイオ技術コラム by平井
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2012年09月18日
翻訳後の加工

こんにちは。轄kエ翻訳事務所で論文翻訳を担当している平井と申します。

分子生物学やバイオテクノロジーをはじめとする生物学全般に関する翻訳や、医学論文、生化学、ライフサイエンスに関する翻訳など、生物学や医学において、複数の分野にまたがる翻訳も扱っています。指名でのご依頼もお受けしておりますのでご相談ください。

細胞内の「翻訳会社」リボソームでは遺伝情報に従ってアミノ酸の重合反応が起こります。そこで必要なすべてのアミノ酸が鎖状に重合されたポリペプチドがタンパク質です。

しかし、タンパク質が機能発現するためには、ポリペプチドが正確な立体構造(conformation)でなければなりません。また場合によっては、共有結合(covalent bond)を介した化学修飾(chemical modification)が必要となります。反対に、本来とは違った化学構造に変化したタンパク質は、異常な機能を持つ可能性があり、実例として狂牛病(mad cow disease)や老年痴呆などの疾患では、タンパク質の折りたたみ方と立体構造の変化により発症に至ることがわかっています。

翻訳会社とも呼ばれるリボソームで合成されたタンパク質は、それ自身があるべき形を覚えていて、正確な立体構造に変化する場合と、シャペロンと呼ばれる特殊な機能を有するタンパク質の仲介が必要な場合があります。

タンパク質中の特定のアミノ酸は、リン酸、アセチル化、糖化(glycosylation)、脂質修飾(lipid modification)などいろいろな化学修飾を受けます。たとえば、脂質修飾に属するミリスチル化によって炭素数14のミリスチン酸が付加され、そのタンパク質は細胞膜に移動して働くことになります。また、糖鎖付加は、タンパク質間の相互作用に影響を与え、生体分子間の認識やシグナル伝達において非常に重要な役割を担っていると考えられています。

轄kエ翻訳事務所   医学翻訳・分子生物学翻訳・生化学翻訳担当:平井