今話題のiSP細胞からDNA研究など、生物学全般やバイオ技術に関する翻訳を専門知識のある翻訳家が担当します。
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生物学・分子生物学・バイオ技術に関する翻訳

翻訳Contributing to worldwide knowledge

生命現象についての研究は古くから生理学で扱われてきましたが、生体の成分、特に酵素やビタミン、ホルモンなどの微量成分が生命の機序に重要な役割を果たすことが明らかとなり、生物学が急速に進歩しました。生体の機能異常が疾病の早期発見に役立つため、現在の医学の発展は生物学により支えられてきたといえます。また、生物学は学術や食品生産などにも重要な影響を与えています。
1953年のワトソンとクリックによるDNAの二重らせん構造の発見は画期的なものでした。それまで神秘のベールに包まれていた遺伝現象が、たくさんの分子が組み合わさった巨大有機分子が複雑な相互作用を行っているということが明らかになったからです。クリックはさらにDNAの二重らせん構造を発展させ、生命の基本原理(セントラルドグマ)を提唱しました。セントラルドグマではまずDNAが複製され、親のDNA鎖を鋳型に娘のDNA鎖が合成されます。そのため、娘のDNA鎖は親のDNA鎖と全く同じ情報を持っているわけです。次にDNAの情報はRNAに写しとられ、RNAが直接の鋳型となりタンパク質が合成されます。これらの過程はそれぞれ転写、および翻訳の過程といわれます。この流れに沿って、遺伝情報は正確に伝えられていくのです。
今日では分子生物学の研究も大きく進展し、さまざまな情報が交錯しています。人間社会での翻訳という役割を通して、細胞内の翻訳会社「リボソーム」並みの活躍をしたいと思います。


この翻訳分野の専任者からのごあいさつ

平井 生化学・分子生物学・バイオ技術翻訳担当の平井です。

大学や研究所で得た知識と経験を生かし、生命科学全般を対象に翻訳を手掛けております。最先端の技術内容に関する仕事が多いため、調査には十分な時間をかけた上で、読み手の立場を十分に配慮し、さらに原文のニュアンスや言葉のリズムを掴み、論理的で読みやすい翻訳文を提供できるよう努めています。
→平井が担当する「生物学・分子生物学・バイオ技術コラム」はこちら

過去の翻訳例のご紹介

  • CD (cluster of differentiation)分類に関する文献(和訳)
  • 医学領域の生化学に関する文献(英訳)
  • コーヒーリング効果の実用性に関する記事(和訳)
  • インフルエンザウィルスのヘマグルチニン(hemagglutinin)に関する研究資料(和訳)
  • CAリピートと抗腫瘍効果の関係に関する文献(和訳)
  • 肝細胞移植(liver cell transplantation)に関する文献(英訳)
  • 分子標的治療(targeted therapy)の研究結果に関する文献(英訳)
  • CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4)ヒト化抗体の用途に関する文献(和訳)
  • 植物発酵エキスの原料に関する資料(英訳)
  • iPS細胞(人工多能性幹細胞)に関する記事(英訳)

翻訳例

翻訳 ケース1

原文

The oldest oral agent class is the sulfonylurea insulin secretagogues. Through the cluster of ATP-sensitive potassium channels on β-cells、these drugs stimulate insulin release. While effective in controlling glucose levels, their use is associated with modest weight gain and risk of hypoglycemia.

一般的な訳文

最も古い経口薬剤クラスはスルホニル尿素インスリン分泌促進剤である。β細胞ATP感受性カリウムチャネルのクラスターの遮断を通して、これらの薬剤はインスリン放出を促進する。グルコース量を調節する上では効果的であるが、その使用が軽度の体重増加と高血糖リスクに関連している。

適切でわかりやすい訳文

最も古い経口薬剤クラスのスルホニル尿素インスリン分泌促進剤は、β細胞ATP感受性カリウムチャネルの遮断を通してインスリン放出を促進させるため、グルコース量を調節する上では効果的であるが、その使用が軽度の体重増加と高血糖リスクに関連している。

改善点

「分泌促進剤」を主語に置くことによって、その後の文章が単調になるのを防いでいます。「the cluster of ATP-sensitive potassium channels on β-cells」の部分に関しては、「細胞膜上のチャネル」という意味だけで十分伝わると判断しています。また、「促進させる」と訳すことによって確実性を高めています。


翻訳 ケース2

原文

Thiazolidinediones(TZD) are peroxisome proliferator-acitivated receptor γ-activators that improve insulin sensitivity in skeletal muscle and reduce hepatic hepatic glucose production. They do not increase the risk of hypoglycemia and may be more durable in their effectiveness than sulfonylureas and metformin.

一般的な訳文

チアゾリジン系薬剤(TZD)はペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γの活性化剤であり、骨格筋のインスリン感受性を改善して肝グルコース産生を低下する。これらは低血糖症のリスクを増加することがなく、さらにスルホニル尿素やメトホルミンよりも効果の持続性が高いかもしれない。

適切でわかりやすい訳文

ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γの活性化剤であるチアゾリジン系薬剤(TZD)は、骨格筋のインスリン感受性を改善して肝グルコース産生を低下させる。この薬剤は低血糖症の発症リスクを高めることがなく、さらにその効果に関してはスルホニル尿素やメトホルミンのものよりも持続すると考えられる。

改善点

「〜する」と「〜させる」を使い分けることによって、正確な文章になります。「may be more durable in their effectiveness」のところでは「効果に関しては」で始めることによって理解しやすくなっています。


翻訳 ケース3

原文

コリンはリン脂質の生合成、つまり細胞膜の構築に必要な代謝成分である。

一般的な訳文

Choline is a metabolic component which is indispensable for the biosynthesis of phospholipids to constitute the cell membranes.

適切でわかりやすい訳文

Choline is a metabolic component in the biosynthesis of phospholipids, the cornerstone of cell membrane structure.

改善点

「cornerstone」を加えることによって、読みやすく意味が明確になっています。


翻訳 ケース4

原文

筋層浸潤性膀胱癌は侵襲性の上皮性腫瘍であり、高い確率で早期全身転移をもたらす。

一般的な訳文

Muscle invasive bladder cancer is an invasive epithelial tumor which often causes early systemic metastasis.

適切でわかりやすい訳文

Muscle invasive bladder cancer is an aggressive epithelial tumor with a high rate of early systemic dissemination.

改善点

この場合は医学的要素が強いため、一般の方でも理解しやすい単語を用いています。また、「with」の活用によって簡潔になっています。