翻訳家によるコラム:生物学・分子生物学・バイオ技術コラム

生物学・分子生物学・バイオ技術コラム by平井
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2012年07月31日
トヨタ自動車、東芝とバイオエタノール利用

こんにちは。轄kエ翻訳事務所で論文翻訳を担当している平井と申します。

分子生物学やバイオテクノロジーをはじめとする生物学全般に関する翻訳や、医学論文、生化学、ライフサイエンスに関する翻訳など、生物学や医学において、複数の分野にまたがる翻訳も扱っています。指名でのご依頼もお受けしておりますのでご相談ください。

燃料電池(power fuel cell)は燃料に水素を使って高効率で発電する装置として将来の本格的な普及が期待されています。自動車用としては、トヨタ自動車や本田技研工業が限定的な市場導入を果たし、PC用としては東芝が製品化を発表するなど実用化が進められています。燃料源としては天然ガスや石油系炭化水素(hydrocarbon compounds from petroleum)、メタノールなどを改質して水素を取り出す方法がとられています。これらは化石燃料からの生産物であるため、温室効果ガスの排出削減の観点からは高効率化による効果のみが寄与されますが、バイオエタノールのような再生可能な燃料からの水素製造が実用化されれば、いっそうの削減効果が期待されます。バイオエタノールの場合、液体燃料であることは大きな利点であり、圧縮水素よりも取り扱いが容易であることや、圧縮機や高圧ガス(high-pressure gas)貯蔵装置といった新たなインフラストラクチャーの整備が不要といったメリットがあります。

エタノールから水素を取り出す方法としては、燃料を燃料電池スタック内で直接に電極酸化反応によりプロトンを得てそのまま発電に供する直接法と、エタノールを一度水素に改質して水素ガスとしてからスタックに供給して発電する改質法(reforming, fuel processig)があります。直接法はメタノールではダイレクトメタノール方式燃料電池(direct methanol fuel cell)として実用化されていますが、エタノールでは改質法の方がより実現性の可能性が高いです。これはエタノールの場合、炭素-炭素結合を低温で効率的に切って水素を切り出す方法がまだ確立されていないためです。

エタノールを燃料とした燃料電池の研究に関しては、実用化あるいは工業化のための技術開発研究の例があまり多くありません。

轄kエ翻訳事務所   医学翻訳・分子生物学翻訳・生化学翻訳担当:平井