翻訳家によるコラム:生物学・分子生物学・バイオ技術コラム

生物学・分子生物学・バイオ技術コラム by平井
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2012年07月23日
偏頭痛発生のメカニズム

こんにちは。轄kエ翻訳事務所で論文翻訳を担当している平井と申します。

分子生物学やバイオテクノロジーをはじめとする生物学全般に関する翻訳や、医学論文、生化学、ライフサイエンスに関する翻訳など、生物学や医学において、複数の分野にまたがる翻訳も扱っています。指名でのご依頼もお受けしておりますのでご相談ください。

今回のテーマは偏頭痛発生のメカニズムとセロトニン説、治療薬「エルゴタミン製剤」「NSAIDs」「トリプタン系薬」の作用点についてです。

偏頭痛(migraine)は緊張型頭痛(tension-type headache)や群発頭痛(cluster headache)のような機能的頭痛に分類される頭痛の一つです。頭部の血管が異常に拡張することで痛みを感じます。近年、その痛みにはセロトニンや三叉神経(trigeminal nerve)が深く関わっていることがわかってきました。セロトニンは血管拡張に関わる物質で、三叉神経は痛みをつくってそれを伝える神経です。そこで、それらを念頭に置いた薬が、発作の治療や予防のために用いられています。

ストレスや臭い、光、睡眠不足など、さまざまな刺激をきっかけにして血小板が活性化され、そのときに血小板からセロトニンが放出されます。セロトニンは血管を収縮させますが、体内で急激に代謝されるため、その反動で逆に血管は拡張してしまい、偏頭痛を発生させます。これがセロトニン説です。

偏頭痛には手足のしびれや視覚異常などの前兆症状があるとよく言われますが、それは、セロトニンによって血管が収縮されたときに、血流が一時的に悪くなることから生じる症状だと考えられています。

よく耳にする三叉神経痛とは、三叉神経が関わる部分で引き起こされる発作的な強い痛みをいいます。この痛みは1〜5分くらい続き、それが何回も繰り返されます。三叉神経は痛みに深く関わっている神経なのです。そして、偏頭痛はこの三叉神経痛の一種ではないかという考え方が三叉神経説です。

頭の中にある鼓膜には血管が張りめぐり、さらに血管のまわりには三叉神経が張りめぐっています。ここはストレスや臭い、光、睡眠不足などの刺激が加わると、ニューロペプチドと呼ばれる物質が放出されて、血管のまわりに炎症を起こしたり、血管を拡張させたりします。これによって生じた痛みは、三叉神経を介し、脳に情報として伝わります。こうして、人間は痛みを認識するというわけです。

轄kエ翻訳事務所   医学翻訳・分子生物学翻訳・生化学翻訳担当:平井