翻訳家によるコラム:心理学コラム

心理学コラム byDr.内野
心理学コラム一覧へ戻る

2012年8月15日
人生観が激変?!死の自覚により豊かになる人生について

こんにちは。轄kエ翻訳務所心理学翻訳担当の内野です。

今日は一つ引用句 (quote) を紹介いたします。

“The physicality of death destroys us, the idea of death saves us.” Irvin Yalom

ヤーロムという実存的心理学 (existential psychology) を広めている精神科医 (psychiatrist)の言葉です。身体的な側面 (physicality) から見ると死は「終わり」を意味し、私たちは身体的には「破壊」されます(destroy)。

しかし、いつか私たちは死ぬということを自覚することで人生観が変わることがあります。生きているものは全ていつか死ぬということはよく分かっていますが、毎日の生活の中では死を自覚せずに生活をしていることが多いと思います。明日、来年、十年後など未来が来るのを当たり前のように考え、ついつい無為に過ごしてしまいます。

ハイデガー(Heidegger) は死を自覚することにより、人生を有意義に生きることができると主張しました。死が近いことを知った患者が残りの人生を豊かにしようと生き生きと過ごす姿を目にしたことはありますか?もし明日死ぬとしたら、今日は何をしたいですか?終わりが来ることを自覚することで、人とのつながりや、本当に貴重なものを大事にすることができます。

ヤーロムは “idea of death” つまり死の自覚をすることで救済 (save) されると言っています。いつ来るか誰にも分からない死。だからこそ今日は生きている毎日は貴重です。悔いなく豊かに過ごせるといいですね。

では次回のコラムをお楽しみに!

轄kエ翻訳事務所 心理学翻訳担当 内野