翻訳家によるコラム:政治経済・アート・スポーツコラム

政治経済・アート・スポーツコラム by佐々木
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2011年12月26日
電気料金の値上げについて

こんにちは。轄kエ翻訳事務所で経済分野の翻訳を担当している佐々木です。

今回のテーマは東京電力(Tokyo Electric Power Company)が発表した電気料金の値上げについてです。

12月22日に東京電力が記者会見を開き、電気料金の値上げを表明しました。まずは企業向けの電気料金を2012年4月から引き上げ、家庭向けも早期に値上げする意向を示しています。企業向けの電気料金は20%の値上げが想定されており、円高(strong yen)やデフレ(deflation)で苦戦する国内産業界からは不満の声が続出しています。

今回の値上げの主な要因は、原子力発電所の事故を受けて火力発電(thermal power generation)の比率が高まった結果、燃料費の負担が重くなったためとのことです。しかし、東京電力の経営努力(managerial effort)は十分に行われているのでしょうか。電力の安定した供給のために電気料金の引き上げが必要であればやむを得ませんが、まずは東京電力が限界までコスト削減(cost reduction)を行い、そのうえで国民が納得できる説明をすることが求められます。また、将来的な方向性を示すことも忘れてはなりません。事故を起こした原発は30〜40年かけて廃炉(nuclear decommissioning)にする予定ですが、かかる費用や具体的な内容は明らかにされていません。原発事故の被害者へ対する賠償金額の総額も未定のままです。

電気料金の値上げを受け、国内産業の空洞化(hollowing-out)が加速するとの見方も出ています。また、東京電力から新規参入業者へ契約を切り替える企業も出てくることが予想されますが、電力自由化(electricity liberalization)はいっこうに進んでいないため、東京電力管内の新規参入業者のシェアは6%程度にとどまっています。こうした状況を打破するためにも、さらなる規制緩和を進める必要があるでしょう。

轄kエ翻訳事務所 経済翻訳担当:佐々木