翻訳家によるコラム:医学・薬事申請コラム

医学・薬事申請コラム byY.O.
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2012年10月23日
うさぎの「遊び」について

こんにちは。医学翻訳薬事申請翻訳を担当しています Y.O. です。

医療機器(medical device)の承認申請のための動物試験(animal study/test)に関する資料の翻訳を担当させて頂くことが多いのですが、刺激性(irritation)や皮内反応性(intracutaneous reactivity)の試験ではウサギがよく用いられます。淡々と試験報告書の翻訳をした後に我が家で目をきらきら輝かせているうさぎと接すると、安全性を確認するため必要な動物試験とは言え、何となく申し訳ないような後ろめたいような気持ちになってしまいます。

猫や犬と異なり、うさぎは「遊び」をしないという話を聞いたことがあります。私も小学生の頃にうさぎ小屋で飼っていた集団としてのうさぎに関しては、黙々と草を食べて寝そべってまた食べて・・・というイメージがありました。「遊び」の定義にもよりますが、生命維持に必要な行為以外の、ある意味不必要な行為と広い意味に解釈すれば、うさぎにも「遊び」に相当する行為があるように思います。

我が家のうさぎと一緒に暮らして2年半ほどになります。当初は900g弱だった体重も3.4kgになり、さすがに肥満という獣医師の指摘を受けてダイエットをして、今は3kg前後になりました。一匹で飼っているため、どこまでがこの個体の個性でどこまでがうさぎの習性と言えるものなのか判断しかねるのですが、我が家のうさぎを見る限りでは、臆病な一方で新しいものに非常に興味を示し、しばらくそれに執着して、飽きたらまた新しいものに関心が移る傾向があるようです。

例を挙げますと、
○牧草で編んだトンネルや座布団から一本ずつ草を抜いては投げ、抜いては投げを繰り返して崩壊させる(草を食べるためかと思いましたが、草は食べずに投げています)
○巣箱にと用意した木の箱に入り、立ち上がって周りを見回し、一旦出て、また入るという繰り返し
○木のかたまりをくわえて投げ、また加えて投げるという行為の繰り返し(歯が伸び過ぎないように木などの固い物をかじるのが好きな動物ですが、ここでは木はかじらず投げるだけです)
○部屋んぽ(部屋の中でのお散歩)の際、普段入っているケージとお散歩用サークルの間に少しずつわずかなすき間を作って(ケージに飛び込んでケージを後ろにずらし、サークルの網を手前に引っ張って巧みにすき間を作ります)、最終的に大きな体ですき間に無理矢理入り込んで脱走する(外の世界に憧れる気持ちは非常に理解できるのですが、他の遊びに夢中になっている間は脱走しません)

どれも行為としては自然なものですが、不思議なのはどれか一つの行為に執着し、一定期間経過すると別の行為に移行する点です。私自身も何か一つのことに興味を持つとしばらくその趣味ばかりに熱中する傾向があるので、この意味においても、「遊び(趣味)」と理解して良いように思います。

常に変わらず我が家のうさぎが大好きなことがあります。24時間いつでも頭(鼻の上から耳の間にかけて)をなでてもらうのが至福の時のようで、人が近くに来たのを見計らってごろんと倒れて真っ白なおなかを見せ、きらきらした大きな目でこちらをじっと見つめてきます。どんなに忙しくても、出かける時間が間際に迫っていても、この真っ白なおなかを見せられると私たちは抵抗できないのを十分に承知している様子です。大きな体でごろんをするのは疲れるのか、必ず観客が近くにいて自分の方を見ていることを確認して、無駄なごろんはしません。家族の中でも日々の世話中心の者とひたすらかわいがる担当の者がいて、それぞれに対して異なるアピールをしてきます。体内時計も優れているようで、部屋んぽの時間になるとケージを噛んで催促し、ご飯の時間になるとケージの扉の前にお座りをして待ち構え、通常トイレを掃除する時間を過ぎても掃除ができていないとトイレの金網を外して放り投げます。うさぎの知能は人間の三歳児相当だという話を聞いたことがありますが、さすがにそこまでは届かないものの、日々の生活パターンや周囲の人々をとてもよく観察していて、色々と学習していることに改めて驚かされます。

轄kエ翻訳事務所 医学翻訳薬事申請翻訳担当:Y.O.