翻訳家によるコラム:生物学・分子生物学・バイオ技術コラム

生物学・分子生物学・バイオ技術コラム by平井
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2012年01月10日
動物との会話

こんにちは。轄kエ翻訳事務所で論文翻訳を担当している平井と申します。

分子生物学やバイオテクノロジーをはじめとする生物学全般に関する翻訳や、医学論文、生化学、ライフサイエンスに関する翻訳など、生物学や医学において、複数の分野にまたがる翻訳も扱っています。指名でのご依頼もお受けしておりますのでご相談ください。

バイオコミュニケーションは動物ともコミュニケーションを交わせる可能性を秘めています。

動物とのコミュニケーションを考えた場合の大きな課題の一つは「心」を何らかのインターフェースで外に引き出すことができないか、あるいは何らかのデバイスで心の動きを私たちが知ることができないかということです。言葉を介さずに心とコミュニケートできる方法が見つかれば、動物とも「会話する」ことが可能になるからです。

しかし、そもそも動物に心があるのでしょうか。マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)の研究グループがラットも人間と同じように夢を見るらしいと発表しています。迷路を抜ける訓練をさせたラットが寝ているところを調べたところ、脳の記憶に関連する部分から迷路を抜けるときに見られる場合と同じようなパターンが観測されたことから、夢を見ているのではないかというのです。

これまで心を持っているのはヒトだけだと考えられてきました。夢を見るからラットに心があると単純に結びつけることはできませんが、動物にも心がある可能性が大きくなったといえます。心があるとすれば、それにレスポンスする脳の活動が必ず起こっています。これまで、たとえば「おあずけ」など、飼い主の命令に犬が従うのは、後でエサをもらえるといった条件反射によるものと考えられてきました。ところが本当は犬には飼い主から褒められると嬉しい、飼い主に好かれたいといった原始的な感情が働いているのかもしれません。

もしそうならば、お腹が空いているとき、散歩に行きたいとき、甘えたいとき、怒っているときなど、その時々に脳波(brain wave)がどのような信号を発しているかを詳しく調べることで、動物の感情を理解できるようになります。

そうしたパターンを分析できれば、たとえば犬にバイオセンサのついた帽子を被せて、バイオセンサが検知した脳波の動きや神経伝達物質(neurotransmitter)の量をコンピュータで解析することで犬の要求を正しく知ることが可能になります。その要求を「散歩に行こうよ」などと音声変換すれば、動物とも科学的な意味でのコミュニケーションが図れるわけです。

轄kエ翻訳事務所   論文翻訳担当:平井