翻訳家によるコラム:生物学・分子生物学・バイオ技術コラム

生物学・分子生物学・バイオ技術コラム by平井
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2011年12月26日
血糖の働きと糖尿病

こんにちは。轄kエ翻訳事務所で論文翻訳を担当している平井と申します。

分子生物学やバイオテクノロジーをはじめとする生物学全般に関する翻訳や、医学論文、生化学、ライフサイエンスに関する翻訳など、生物学や医学において、複数の分野にまたがる翻訳も扱っています。指名でのご依頼もお受けしておりますのでご相談ください。

糖尿病で最も重要なキーワードは「血糖値(blood glucose level)」です。その血糖値とは、血液中のブドウ糖(glucose)の濃度をいいます。ブドウ糖は地球上の生物にとっていちばん基本的なエネルギー源で、細菌もヒトも同じブドウ糖を利用して生命を維持し、活動しています。

生物の体は一定のバランスを保てるように非常に精密にできています。何かバランスを崩すことがあっても、元の状態に戻れるように、何重にも守られています。たとえば、私たちは体温が1度上がると体調が悪くなります。4度も上がればそれこそ「ひどい高熱」で、寝込んでしまいます。血糖値についても同じことがいえます。上がりすぎず、かといって下がり過ぎないようにさまざまな機構を駆使して調節しているのです。

血糖値を表す単位はmg/d?で、mgは1gの100分の1、d?は100m?のことです。たとえば、血糖値100mg/d?は小さじ50分の1のブドウ糖がコップ半分の水に溶けているときの濃度です。ずいぶん少ないように思えますが、血糖値500mg/d?でも小さじ10分の1です。100mg/d?と150mg/d?の血糖の差なんていったら、考えただけでも目が点になりそうですが、この差が私たちの健康上、大きな差となって現れてきます。

従って高血糖とは、この血糖調節機構がうまく働かなくなった状態のことをいいます。調節機構のなかで障害を受けてしまうところは無数にあるため、糖尿病患者では一人ひとりの障害のタイプが異なります。そのため、糖尿病はひとつの病気というよりは、高血糖になるという点だけが共通の「症候群(syndrome)」と呼んでもよいぐらいです。

轄kエ翻訳事務所   論文翻訳担当:平井