翻訳家によるコラム:生物学・分子生物学・バイオ技術コラム

生物学・分子生物学・バイオ技術コラム by平井
生物学・分子生物学・バイオ技術コラム一覧へ戻る

2012年05月14日
色に隠された海藻の事情

こんにちは。轄kエ翻訳事務所で論文翻訳を担当している平井と申します。

分子生物学やバイオテクノロジーをはじめとする生物学全般に関する翻訳や、医学論文、生化学、ライフサイエンスに関する翻訳など、生物学や医学において、複数の分野にまたがる翻訳も扱っています。指名でのご依頼もお受けしておりますのでご相談ください。

海藻(seaweed)とはいわゆる藻類の仲間のうち、海で生活しているものを指しますが、実際にはある程度大型で、岩などに付着して生活している種類のことをあらわしています。海藻は潮間帯から数十メートルの海底にまで生息しています。一般に、比較的浅いところには緑藻、もう少し深いところには渇藻、さらに深いところには紅藻とよばれる藻類が住んでいます。褐藻はコンニャクやワカメ、紅藻はアサクサノリやテングサなどがあげられます。1メートルを超えるような大型種は褐藻類に見られます。

植物の葉が緑色に見えるのは、細胞内に葉緑体(chloroplast)があるからです。葉緑体にはクロロフィルという色素が含まれていて、緑の光を反射しているため緑色に見えます。緑色の植物、すなわちクロロフィルをたくさんもっている植物の光合成は、主に青色、赤色の光を利用しています。

水には、赤に近い色の光をわずかに吸収する性質があります。光が数十メートルも水中に進むと、赤系の色が吸収されて弱くなり、青系の色が強くなります。このような条件においては光合成の効率が低下します。そこで、藻類は深さに応じて各種の色素をもち、水中での光合成の効率化を図っているのです。

なぜ藻類は深い海にないのでしょうか。深い海では赤色の光は弱くなっていますから、吸収できる光は青色のみとなり、光合成の効率が悪くなってしまいます。しかし、赤い色素をもっていれば、青色や緑色、両方の光を吸収して光合成をすることができます。

クロロフィルは光合成の中心となる色素で、どの藻類にも含まれています。利用する光に応じて、違う種類の色素をもっているのです。褐藻のもつフコキサンチンは幅広い青色の光を吸収し、紅藻のもつフィコエリトリン、フィコシアニンは、クロロフィルやフコキサンチンではあまり吸収できない緑色や黄色の光を吸収することができます。

もっている色素の違いによって、海藻の色が決まるのですね。

轄kエ翻訳事務所   論文翻訳担当:平井