翻訳家によるコラム:生物学・分子生物学・バイオ技術コラム

生物学・分子生物学・バイオ技術コラム by平井
生物学・分子生物学・バイオ技術コラム一覧へ戻る

2012年01月11日
フッ素から地球にやさしい洗剤が誕生?!

こんにちは。轄kエ翻訳事務所で論文翻訳を担当している平井と申します。

分子生物学やバイオテクノロジーをはじめとする生物学全般に関する翻訳や、医学論文、生化学、ライフサイエンスに関する翻訳など、生物学や医学において、複数の分野にまたがる翻訳も扱っています。指名でのご依頼もお受けしておりますのでご相談ください。

オゾン層破壊(ozone depletion)の抑制は、先進諸国が一丸となって取り組んだCFC113などの特定フロンの製造全廃によって、消費者が大幅に減った効果がやっと現れてきました。これは「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書(Montreal Protocol on Substances that Deplete the Ozone Layer)」の成果です。

一方、そのそばから南極(the South pole)の氷山が溶け出して大崩壊したり、世界各地での大洪水続きなどの異常気象が問題になっています。この原因の一つは地球の温暖化にあるとされており、1997年に京都で開催された気象変動に関する国際会議で採択された「京都議定書(Kyoto Protocol)」では、温暖化に影響を及ぼすとされる化学物質の使用削減や一部の化学物質を逐次全廃するなどの指針が先進国間で取り決められました。この中には、一部のフッ素系洗浄剤(fluorochemical detergent)などが含まれています。

ここで具体的に取り上げられた化学物質の温暖化効果は、100年先、すなわち21世紀を通した推定に基づいています。しかし、人類はその先もずっと生存するわけなので、もっと先々まで推定して子孫に禍根を残さないようにすべきと考えることは当然です。

産業技術研究所では、いったん大気に揮散された化学物質が、さらに何世紀先のずっと先まで大気環境に与える影響を推定する新しい評価方針を提唱し、世界中の注目を集めました。

この新しい評価方針によれば、最初の100年間では温暖化への懸念があるとされた化学物質が、その先では影響が少なくなったり、逆に、「懸念が少ない」とされた化学物質がその後も影響が持続するなどの、新たな様相が推定されています。

同所では、提唱した環境新評価方針を踏まえた新規なフッ素系洗浄剤の開発に取り組んでおり、数世紀先までも地球環境にやさしい洗浄剤が誕生する期待がふくらんでいます。特に、フッ素系洗浄剤は、一成分で全ての洗浄工程が行え、蒸気回収やリサイクルが容易などの利便性に優れた洗浄剤ですので、それから得られる恩恵は計り知れません。

轄kエ翻訳事務所   論文翻訳担当:平井