ジャズからポップミュージックまで音楽に関する全般の翻訳を専任の担当者が行います。
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音楽に関する翻訳

音楽に関する翻訳Activating music around the world

科学の世界では研究がどんどん進み、5年前の常識が今では常識ではなくなるということも珍しくありません。実は音楽の世界でも、サイエンスの世界ほどのペースではないにせよ、「常識」の内容は時代とともに変化しています。

カラヤンなどの巨匠が活躍していた20世紀後半のクラシックの世界では、バッハでもモーツァルトでもストラヴィンスキーでも、同じ楽器を使って同じような解釈で演奏することが当然と考えられていました。ところが60年代からはじまった「古楽運動」を端緒として、その作曲家が生きていた当時の楽器の構造や演奏様式の研究が進み、現在ではバッハやモーツァルトなどの演奏は、当時の楽器や演奏様式に依拠したもののほうが主流と言えるような状況になっています。

また有名なバッハの「無伴奏チェロ組曲」は、文献の研究により現在の一般的な形状のチェロのために書かれた曲なのか、というところにまで疑義が呈されるようになり、今後の研究によっては、チェロのための曲ではなかった、ということになる可能性すらあります。クラシックの世界でも、このように過去の常識がすでに常識でなくなっていますし、現在の常識が将来は常識でなくなる可能性もあるのです。

ジャズの世界では、日本では今でもボストンのバークリー音楽院で体系化された、いわゆる「バークリー理論」が主流になっています。しかしジャズの母国アメリカではジャズ教育の先駆者であるバークリーだけでなく、多くの音楽大学や大学の音楽学部にジャズ科が設けられ、音楽学者たちにより、バークリー理論とは異なる視点によるジャズ理論の体系化が試みられています。このような状況のもと、アメリカのジャズマンの間では、すでにバークリー理論は主流とは言えなくなっています。

音楽教育や演奏の習得の場面も変化しつづけています。幼児教育研究の進歩は音楽教育にも反映され、さまざまな取り組みが行われています。また「アレクサンダー・テクニーク」や「フェルデンクライス」のように人体の構造から演奏法をとらえなおす研究の進歩により、体に負担をかけない演奏法への理解も日々深化しています。

さらに、音楽の世界でもコンピュータの存在は避けられないものとなっています。作曲や演奏をコンピュータで行う「コンピュータ・ミュージック」はもちろん、録音をはじめとした音源制作の場面でもコンピュータは必須のものとなっています。コンピュータの性能の進歩にしたがって、コンピュータと音楽のかかわり方もどんどん進歩しています。

自ら演奏も手掛け、専門的な知識を持つ翻訳者を通じてより多くの、そしてより新しい音楽にかんする知見を紹介することで、日本の音楽文化をより豊かなものにする一助となればと考えております。

この翻訳分野の専任者からのごあいさつ

池上音楽翻訳担当の池上です。

医学関係、音楽関係の翻訳者としての仕事を10年以上続けるかたわら、現役のコントラバス奏者としても活動しています。ジャズ、クラシックを学んだ経験を基礎に幅広い音楽に対する豊富な知識を持ち、幼児教育などの基礎的な分野から高度な音楽理論に関する書籍や論文まで幅広くカバーしています。(池上)

過去の翻訳例のご紹介

  • CDのライナー・ノート
  • 音楽家のインタビュー記事
  • 音楽家の評伝
  • 演奏法の研究書、論文


翻訳例

翻訳 ケース1

原文

“Excuse me! You want me to do what with my violin?” This is a common response when a string player is asked to bang on their $600,000 Strad like it was a drum. Nevertheless, for a contemporary violinist, it is common-place to utilize parts of the violin that are capable of producing sounds. Interestingly enough there is no historical accounts of percussive techniques for the violin until their emergence in the early 20th. The most common method to produce percussive sounds on a violin is through using the hand as a mallet.

訳文

「失礼! わたしにこのヴァイオリンで何てことをさせるんですか?」 六十万ドルもするストラディヴァリを太鼓のように叩けと言われれば、たいがいの弦楽器奏者はこう答えるでしょう。しかし現代のヴァイオリン奏者にとって、ヴァイオリンのパーツを音が出せるものとして扱うことは普通のことになっています。興味深いことに、ヴァイオリンを打楽器的に扱うテクニックは二十世紀初頭に開花するまでは存在しなかったのです。ヴァイオリンで打楽器的な音を出すためのもっとも一般的な方法は、手をマレットのように用いるものです。

注記

ヴァイオリンの現代の奏法を解説した論文「CONTEMPORARY VIOLIN TECHNIQUES:THE TIMBRAL REVOLUTION」の抜粋。
論文ではありますが、教則本的な側面もあるため、ここでは「ですます」調で訳してみました。これはどのような読者を対象として訳すかによって変わると思われます。また原文に「Strad」とありますが、これはヴァイオリンのストラディヴァリウスのことです。英語ではこういう表記が多くみられますが「ストラド」では日本の読者には分かりにくいので「ストラディヴァリ」としています。


翻訳 ケース2

原文

There are several revisions that date punk's origins earlier and place them in the U.S.‐in Detroit with the MC5 or the Stooges, or New York with the Ramones or Patti Smith. One could reach back to 60s California garage rock and early New York glam. It's mostly an academic question now. But in the late seventies, it was all about the Sex Pistols, their entourage, and hangers-on‐and punk rock was a British invention for export‐or so went the dominant narrative.

訳文

パンクが誕生した時期をより早いものとし、土地もアメリカであると見なおす動きもある。MC5やストゥージズによってデトロイトで、とかラモーンズやパティ・スミスによってニューヨークで、といった見解である。六十年代のカリフォルニアのガレージ・ロックやニューヨークのグラム・ロックまでさかのぼれるとする者までいる。これはもはや研究者レベルの問題となっているのだ。しかし七十年代後半においては、すべてはセックス・ピストルズやその仲間と取りまきたちがシーンを動かしたのであり、パンク・ロックはイギリス生まれの輸出品であった、という見方が支配的であったのだ。

注記

「The History of Punk Rock」というウェブ記事の抜粋。
全体としてノンフィクション調の文体となるようにしました。またバンド名やジャンルの表記は、現在の日本で主流となっているものに合わせています。