翻訳家によるコラム:環境コラム

環境コラム byYM
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2012年06月26日
侵略者コガネムシ Japanese Beetle: The Invader

こんにちは。轄kエ翻訳事務所環境翻訳担当 Y.M. です。

週末、毎年恒例の学年末キャンプに参加しました。かつて近隣の鉄溶鉱炉(blast furnace)を支えるため、炭焼きが盛んに行われていたメリーランド州のCunningham Falls State Park。過度の森林伐採 (deforestation)と農業開発(agricultural development)で環境破壊(environmental destruction)が進み、1930年代に政府が買い上げて再生(reforestation)に取り組んできた地域です。現在では、すがすがしい空気と鮮やかな緑に包まれ、歴史を知らなければ環境破壊が問題となった場所とは想像もできません。

しかし、今はもう環境破壊とは無縁、かといえばそうでもないようです。キャンプ場の入り口には「薪持ち込み禁止」と張り紙がされていますが、これは害虫被害から森林を守るため。キャンプで使う薪は全て公園内で購入することとなっています。

この害虫の代表選手は、日本でも馴染みのマメコガネ(Japanese Beetle, Popillia japonica)。1916年にニュージャージー州のリバートンで初めて発見されて以来急速に分布(distribution)を拡げ、今ではアメリカ全土に広がっています。日本でもマメ科植物(Fabaceae)をはじめとする農作物の葉や根を食べるため害虫とされていますが、アメリカでは乳化病菌バチルス・ポピリエ(Paenibacillus popillae)等、マメコガネの幼虫に寄生する種(parasite)が少なく、大発生(outbreak)につながったと考えられています。

薪火でマシュマロを焦がしてグラハムクッキーとチョコレートに挟んだスモア(s'more)、キャンプに無くてはならないデザートを子供たちと楽しみながら、同郷のコガネムシが引き起こしている環境問題に思いを馳せたひとときでした。

轄kエ翻訳事務所 環境翻訳担当:Y.M.